精神科ナースがウェルビーイングについて考えるブログ

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「眠前の少量のお酒は体にいい」は正しい?アルコールのエキスパートが答えます!

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引用:7 ways alcohol affects your anxiety

 

こんにちは。精神科ナースまさです。

 

みなさんは「寝る前の少量のお酒は体にいい」という話は聞いたことがありますか?

実際に眠れないときにお酒を少し飲んで、寝つきが良かったとか、よく眠れた気がするとか、寿命が延びるという話も聞いたことがあります。

はたしてこれは正しいのでしょうか?

 

私のチームでは「アルコール依存症の患者さん」を受け入れています。そのため、アルコールに関しての専門医や看護師からのお話を聞く機会が多いですし、私自身も日々勉強しています。

今回はそんななかでよく聞く「寝る前の少量のお酒は体にいい」説について解説していきます。

 

 

実はメリットなし!?寝酒が脳に与える影響

結論から言うと、現代の脳科学・精神医学からの観点では「寝る前の少量のお酒は体にいい」は完全に否定されています

アルコールによって入眠はすんなり問題なしと感じますが、実は脳は完全に覚醒している状態で寝ることになります。これにより通常では1時間半に1回のペースで訪れる「深い睡眠」の回数が減る、もしくは無くなることが分かっております。脳はこの「深い睡眠」のときに休息するのですが、深い睡眠がなくなることで休息の回数が減ったり、無くなったりします。つまり、体は寝たのに脳は徹夜している状態になります。

自分では気づかないうちに脳が徹夜しているので、勉強や仕事の効率は格段に落ちていきます。しかし、ほとんどの人はその状態が続かないので気づきません。あるいは、人によっては一時的に効率が上がったと感じる人さえもいます。

さらに、脳が疲労して幸福のホルモンである「セロトニン」の分泌が阻害されて幸福度が下がりやすくなる結果、ストレスを感じやすくなり、またお酒を飲んでしまいまうという悪循環を繰り返してしまいます。

 

患者さん「お酒をのむと仕事がはかどります」→家族さん「え、、、?」

実際に入院してすぐにお話する患者さんは「お酒を飲みながら、あるいは寝る前にお酒を飲んでから仕事すると、すっきりして仕事がはかどっていた」と言われる方もいらっしゃいます。しかし、家族さんのお話を聞くと、それはひどいもので、お仕事どころか家庭生活もまともにできていない方が多いです。

つまり、アルコールの問題に「気付かない」もしくは「気付かないふり」をしているんですね。こうやって否認を繰り返すことが非常に多いので、アルコール依存症は別名「否認の病」とも言われています。

 

お酒は正しい知識をもって、楽しく付き合っていきましょう

みなさんのなかには「いや、そこまでじゃないよ。。。」と思われる方が多いと思います。実際そうであってほしいのですが、残念ながらストレスでお酒に頼る人が多いのも事実です。みなさんには、お酒に対して正しい知識をもって楽しく付き合っていただきたいので、今回は勘違いされがちなお酒のお話をさせていただきましたが、いかがだったでしょう?

 

たくさんの意見を頂けると幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。