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知っているだけで心がラクになる!-認知行動療法で使われる10の思考パターン-


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こんにちは。精神科ナースまさです。

 

みなさんが知らないうちにしている「偏った考え方のくせ」を心理学では

認知のゆがみ」といいます。

これは誰でも気付かないうちに持っており、人によってはこの認知のゆがみのせいで、生きづらさを抱える原因になります。

そしてこの「認知のゆがみ」には10パターンあることが分かっていますので、今回は全てのパターンを解説していきます。

自分の認知のゆがみを知ることは、精神医学的にも非常に有効な治療のひとつですので、ぜひみなさんはどのパターンにあてはまるのかを考えてみてください!

認知のゆがみ10パターン

全か無かの思考

 100%でなければ失敗と考えてしまう、いわゆる「完璧主義」です。

また「白黒思考」とも呼ばれており、現実ではほとんどありえない100%うまくいくことのみを有意義と思っており、それ以外は失敗と思っています。

結果として、些細なほつれが気になって自分にも他人にも厳しくなってしまいます。

一般化

ひとつの良くないことで、全てを判断してしまう思考です。

ひとつのマイナスな出来事で、「だから上手くいかないんだ」と決めつけていませんか?

例えば、告白して失敗してしまったときに「こんな自分、だれも好きにならないよ」と思ってしまうことや、ひとつの失敗で周りが悪口言ってるように感じたりなどがあれば、これに当てはまります。

心のフィルター

自分や他人の良いところが目に入らなくなるなど、悲観的なメガネをかけて生きている状態です。

「世の中はろくなもじゃない」や「世間は怖い」などと考えるのであれば、これに当てはまります。

マイナス化思考

全てを悪い出来事、悪い評価にすり替える思考です。

プラスな出来事はマイナスに、マイナスな出来事はよりマイナスに考えいませんか?

例えば、自分ができていることを「誰がやってもできる」や「他の人ならもっと早くできてた」などと考える場合です。

結論の飛躍拡大解釈と過小評価

これには2種類あって

①先読みの誤り

②心の読みすぎ

があります。

①は、自分の人生を先読みしすぎて「私はこのままだとずっと幸せになれない」などとと感じてしまう状態です。

②は他者の気持ちを勝手に想像し、つくりあげることで根拠のないストーリーができてしまうことです。

例えば「恋人が服を選んでくれたけど、それっていままでの服が気に入らなかったってこと?」と思ってしまい、恋人は実は我慢して横を歩いていたのかもしれないと、マイナスなストーリーをつくりあげてしまったりです。

感情的決めつけ

感情で物事を判断してしまったりしていませんか?

例えば「これだけ憂うつなんだから、何をしたって楽しくなんてならない!」と決めてつけてしまったり、「なんだか恋人とも話したい気分じゃないから、もう好きじゃないのかも」と思い込んでしまったりなどです。

すべき思考

自分のなかでの「人には優しくすべき」「愛想よく振舞うべき」などの「~すべき」ルールに縛られていませんか?

このルールに縛られていると、自分にも他人にも心の中で強制することになってしまいます。そして、その「~すべき」ができていない他人や自分を見ると、なんだかイライラしたりしてしまいます。

レッテル貼り

前述した「一般化」の極端なバージョンです。

自分にも他人にも一度「こんな人間だ」とレッテルを張ってしまうと、何をしてもそのレッテル通りの人にしか見えなくなってしまうという思考です。

例えそのレッテル以外のことをしたとしても、無意識に見ないふりをして、レッテル通りのことをした場合にだけ注目してしまいます。

個人化

「全ての出来事は私のせい」と思っていませんか?

「恋人や上司が機嫌が悪いのは、私がなにかしたからだ」

「先輩のあのミスは、私が見落としてしまっていた部分があるからだ」などなど。

実際には全く関係なかったり、あまり関与していなかったとしてもそんな風に考えてしまう場合は、これにあたります。

 

「認知のゆがみ」を生活に活かす方法

前述した10つの認知のゆがみを知り、実際に自分はどのパターンが多いかを知ることで、日々の生活を少しラクにすることができます。

これは簡単なことではありませんが、心をラクにする最も簡単な方法ですのでぜひやってみてください。

準備

・ペン

・ノート

書き出し

実際に最近あったもやもやしたことなどを思い出してください。

そのとき、自分はどんな風に感じていたか具体的に書いてみましょう。

 

例)

・また仕事で失敗した→あんな初歩的なミスなんてありえない→やっぱり自分はダメなやつなんだ。

 

認知のゆがみパターンを当てはめる

この例の場合、最初の「失敗した」は事実ですが、「ミスはありえない」はすべき思考(ミスなく仕事すべき)「やっぱり自分はダメなやつ」は一般化ですね。

 

このように、いくつもの身近にあったもやもやを書き出していくと、自分がよく使う思考パターンが見えてきます。

 

思考のパターンを知るだけで、かなり変わります!

実際の認知行動療法では、これらの思考パターンを知ったうえでどのように考えていくとラクになるかを一緒に考えていきます。

本当はそこまで解説したかったのですが、それは個別でやらなければ効果が薄いのでここでは断念します。

自分の思考パターンを客観的に知れるだけでも、かなり心がラクになりますので、みなさんもぜひ、認知のゆがみを自覚してみてください!

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

私個人への相談等も承っておりますので、お気軽にどうぞ~ 

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